いいロングライドイベントってどんなものなのだろうか。人それぞれで基準は違うと思うが、僕(サイクルスポーツ編集部・江郷)は「絶景」、「上り坂」そして「グルメ(←これが最重要ね)」の三拍子がそろったものだと断言する(笑)。このわがままな僕の望みを満たしてくれるうえに、「島一周完走」という極上の達成感まで与えてくれるイベントが、淡路島ロングライド150だ。
今年で5回目の開催を迎えるこのイベントには、毎年2000人もの参加者が集まる。島とはいえ、本州と直結する明石海峡大橋があることで、大阪からでもクルマで1時間程度というアクセスのよさ。関西圏のサイクリストにとって、“アワイチ”は知らない人がいないほどの定番のコースなのだ。
▲毎回大盛り上がりの前夜祭。地元伝統芸能のステージのほか、協賛各社から提供された豪華賞品が当たるじゃんけん大会など、催しもたっぷり。受け付けを済ませたらぜひ参加しよう
まずは絶景。スタートはあたりがまだ暗いうちとなるのだが、走り出してしばらくすると、左手の水平線から顔を出してくる幻想的な朝日に感動させられる。途中走る海岸線の道も魅力たっぷりだ。ときには荒々しい海の波しぶきを浴びながら走る「南淡路水仙ライン」。それとは対照的に、青く穏やかな美しい海を横目にしながら走る「淡路サンセットライン」。同じ島なのに対照的な雰囲気の海を楽しむことができるのだ。
また、ロングライドイベントで欠かせないのが、やっぱり上り坂。これを楽しみに走る人も多いはずだ(笑)。ここ淡路島でも、距離は短いけれど勾配のキツい上り坂が待ち受けている。脚力に自信のない人は軽いギヤでムリせずに走ろう。これをクリアしたとき、喜びもひとしおのはずだ。
さらに、お楽しみのグルメ。エイドステーション(AS)にはさまざまなおいしい補給食が用意されている。僕は昨年、このグルメのおかげで完走できたといっても過言ではない。豚汁、そうめんから、バリエーション豊富なおにぎりやパン、おしるこや焼きプリンといったものまで、どれも満足できる味だった。しかし、ASに長居しすぎないよう注意が必要だ(笑)。
“アワイチ”を完走したとき、他のロングライドイベントでは味わえない格別の達成感を味わうことができるだろう。自分の自転車経験を語るとき、“アワイチ”は大きなアピールになることは間違いなしだ。
今年の秋はぜひ“アワイチ”を目指してみよう!
▲なるべく暗いうちにスタートしよう。走りながら見る朝日はまさに感動モノ。もちろん、スタートを待ちながら見る朝日もいいのだが
▲サイクルスポーツ誌連載でもおなじみの山崎敏正統括店長率いるシルベストサイクルは、淡路島を知り尽くしたクラブ員が伴走スタッフとして参加
島一周のコースだけあって、全体の7割くらいは海岸線を走るイメージ。海岸線特有のアップダウンはもちろんある。洲本港ASを過ぎると、まず1つ目の上りが出現。それをクリアしたら今度は立川の峠だ。勾配は急だが、距離はそれほどでもない。このあとに続く南淡路水仙ラインでは、波しぶきを浴びながら走れる。
灘ASから慶野松原ASまでが”アワイチ”の本番。灘地野、阿万塩屋町、大鳴門橋などの上りが続く。いずれの上りも急だが距離は短い。ここが踏ん張りどころだ。後半の淡路サンセットラインはほぼ平坦。しかし、ここで調子に乗って脚を使いきらないように。明石海峡大橋を横目に神戸淡路鳴門自動車道の下をくぐると、最後の上りが待っている。これをクリアすればフィニッシュは間近だ。
▲阿万塩屋町の上りはかなりキツい。とくに左右のヘアピンカーブは歩いて上るのもしんどい
▲波しぶきを浴びて走る南淡路水仙ラインは、文字どおり「バイシクルサーフィン」のポイント
”グルメ”ライドと言ってもいいほどの充実ぶりを見せるASの補給食。昨年の全8種類にも及ぶパンのバリエーションには驚かされた。また、竹ちくわなんて変わり種も。ASを素通りしてしまうなんてもったいないので、絶対にやめよう(笑)
走行編
ペース配分を考えて走ろう!
淡路島150km完走のポイントはペース配分だ。各AS(エイドステーション)に設けられた通過制限時間との差を確認しながら、余裕を持って走ろう。スタートして洲本港ASまでは平坦基調の道。そこを過ぎると急な上りが現われるが、距離はそれほどでもないので、あわてずに走りたい。
波しぶきを浴びながら走る南淡路水仙ラインを抜けると、ここからが淡路島の難所。灘地野、阿万塩屋町、大鳴門橋といった、距離は短い急な上りが出現する。
とにかく、“頑張らない”でゆっくりと走れば、クリアすることも難しくはない。そこを過ぎれば、フィニッシュまではほぼ平坦な道。前半はなるべくムダの少ない効率のいい走りをして、中盤の上りから後半に向けて脚を残しておきたい。
休憩時間はできるだけ少なめに
脚力に自信がない人は、なるべく休憩時間を少なくして、平均速度を上げるようにしたい。ASではトイレと補給を素早く済ませよう。僕、江GO!はとにかく貧脚なので、コース付近に点在するコンビニの誘惑にも負けず(笑)、できるだけ休憩時間を短くして完走を目指した。
そのおかげで、なんとか完走することができたのだ。ASのトイレは混み合っていることが多いので、コース途中に設けられた臨時トイレを利用することをオススメする。時間のロスを少なくできる。
上りで頑張るのは禁物!
南部に最大勾配11~15%の激坂がある淡路島。上りは”頑張らない”ように走るのが重要だ。とにかくいちばん軽いギヤで、ひたすらペダルをクルクルと回して坂を上ろう。
たとえ上りで頑張ったとしても、平均速度はたいして上がらないし、ただ脚を消耗していくだけ。
フィニッシュまで走りきれる脚を残しておくためにも、ムダのない効率のいい走りをしておきたい。それでももし、どうしても頑張りたいなら、上りではなく、平地で頑張って走るようにしよう。